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校長あいさつ

校長 新野 秀憲
工学博士
東京工業大学名誉教授

職業能力開発総合大学校(Polytechnic University、 PTU)は、厚生労働省所管の省庁大学校のひとつで、科学・技術・技能の3本柱を建学の精神としています。昭和36年(1961年)4月の創設以来、(1)基幹業務のひとつであるテクノインストラクター(職業訓練指導員)の養成と研修、(2)職業能力の開発・向上に関する調査・研究、(3)ものづくり人材育成の中核教育研究機関として、広範な日本の製造産業を主導する高度人材の育成と輩出を続けています。

平成24年(2012年)4月に設置された4年間の学修により日本で唯一の学士(生産技術)の学位を取得する「総合課程」(一般大学における学部学士相当課程)では、ものづくりの生産現場で必要となる問題発見力、展開力、解決力、構想力を保持するプロセスイノベーターとして将来を担う技術者を育成しています。総合課程では、科学・技術に加えて技能も体得する少人数による密度の濃いキャリア重視の教育が行われており、平成28年(2016年)3月に第1期生を世に送り出して以来、実就職率100%を達成しています。この総合課程は、国や都道府県等の職業訓練施設で活躍するテクノインストラクターを供給する役割も持ち、約半数の卒業生がテクノインストラクターの道を歩んでいます。平成29年度の入学生から、卒業と同時に日本で唯一の学士(生産技術)の学位と共に国家資格である職業訓練指導員免許を取得できるようになりました。

平成28年(2016年)4月に生産工学領域の高度な専門性を有する人材の育成を目的として設置された「職業能力開発研究学域」(一般大学における大学院修士課程相当課程)では、2年間の学修により日本で唯一の修士(生産工学)の学位を取得できます。平成30年(2018年)3月に最初の修了生を輩出して以来、テクノインストラクターの資格と修士号を併せ持つ高度人材を輩出するという目的を達成しています。IoTやAIに代表される先進技術を導入したものづくり人材育成や職業能力の革新をテーマにした調査・研究を基盤整備センターで遂行しています。

職業能力開発総合大学校は、教職員・学生が一丸となって新たな学術領域である技能科学(Polytechnic Science)の創成を目的として、関連研究を総合的、かつ精力的に推進しており、その研究教育拠点COE(Center of Excellence)の形成と日本の高度人材育成に取り組んでいます。また、教職員は、それら教育研究に留まらず、国際・国内の技能五輪や技能検定に係る競技主査・委員の輩出、関連するデータベースの整備、HP等により情報発信しています。また平成30年(2018年)4月には広報・地域連携センターを設置し、様々な組織連携による地域貢献を強力に推進しています。

日本のものづくり産業を取り巻く環境は、海外貿易政策、世界経済の変動、労働人口の減少、第4次産業革命による技術の変化などの相互影響により大きく変化しています。それらに対応すると共に、誰もが活躍できる社会の実現、先進国の中で低いことが指摘されている生産性向上に対応するためには、日本の強みである技能を見える化・デジタル化し、それをIoTで「繋ぎ」、かつ新技術と組み合わせて高度化することにより、新たな価値を創造することが喫緊の課題であると考えます。職業能力開発総合大学校は、科学・技術に加えて技能という強みを活かした「技能科学」のCOEを構築すべく、そのための教育・訓練環境を整備しつつ、日本の職業能力開発を先導してまいります。

関係各位のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

職業能力開発総合大学校長
新野 秀憲